落合朱美(おちあいあけみ)



〜プロフィール〜

2000年よりHP「さろん・しえすた」(現「お昼寝の時間」)で詩作品等を発表
2005年 「詩遊会」立ち上げ
2006年 詩遊会出版部設立。
       アンソロジー「詩遊人たち」シリーズ主宰。
       詩集「思惟〜しゆい〜」刊行
2007年 歌集「恋泥棒と花盗人」で新風舎出版大賞奨励賞受賞
       埼玉県秩父市に於いて「ポエトリーカフェ武甲書店」開店
2008年 歌集「恋泥棒と花盗人」出版
       詩遊会出版部を詩遊会出版と改め、主に手作り製本による自費出版の提案と
       出版本の販売促進に努めている。


〜メッセージ〜

「詩はやさしい言葉で苦労して書け」
童謡作詞家の品川清美先生とお会いした時に言われた言葉が、私の支えです。

なにげない日常の風景や等身大の自分の姿。ともすれば作文や日記にもなりがちな素材を
感性豊かに作品として表現しているものに感動や共感を覚えます。
独特の感性、豊かな語彙、遊び心を感じる言葉たち。そんな誰にも真似できないような
その人ならではの作風も期待しています。


〜落合朱美の作品〜


「夏至点」  


真昼の公園で木漏れ陽を浴びて 
癒える筈のない悲しみのことを考えていた 
ときおり吹き抜ける風はすこし熱を帯びて
客待ち顔のアイスクリーム売りの老婆の 
麦藁帽子を踊るように撫でてゆく 

あの日 
あの人の瞳の奥に映った淋しい翳のこと 
最期に握った手の力の強さ
渾身の力をこめた指先が紫色に震えていたこと
握られた手首には指の痕が残っていたことを
泡沫のように思い出しては仕舞いこむ

太陽はいちばん高いところで穏やかに微笑み
砂場の子供たちは無防備に手を伸ばす
爪の中まで泥に塗れても
その手は穢れることをまだ知らない

アイスクリーム売りの老婆が
二色のアイスを薔薇の花弁の形に盛り付け
子供たちから歓声があがる
その器用な指先は永い苦労の末の安穏を物語り
穢れをどこかで拭い去ってしまったように見えた

人というものはきっと
無色に生まれてしだいに色づき
そしてまた無色に還るものなのだ
それは色褪せるのではなくて
澄んでゆくものなのだろう

あの日
振り返れば堂々巡りの人生だったと
呟いたあと目を閉じたあの人は
けれど太陽の描く輪の中で護られて
いつかまた無垢な生命で生まれ変わる

私もやがて
同じように澄んでゆくのだろう